円町駅別館 YenTown Station annex
旅の記録
2008
賀名生(あのう)(奈良県五條市)
未成線探訪 五新線(賀名生→大日川、城戸)
2008年6月3日

6月2日東京発の夜行快速「ムーンライトながら」
→名古屋で始発の新大阪行き「こだま591号」
→京都で奈良線奈良行き普通列車と乗り継ぎ、奈良からはこの和歌山行き普通列車に乗車。
奈良県五條市の五条駅までやってきた。
五条駅からは城戸行きの奈良交通バスに乗ってさらに南下。

大きな地図で見る
賀名生和田(あのうわだ)停留所でバスから下車し、真っ先に向かったのはこの「賀名生皇居跡」。
南北朝時代に南朝の後醍醐天皇や後村上天皇がここを皇居とされた。
当時からこの地に住む堀家が現在も住宅として使用しているが、春と秋に期間限定で事前予約をすれば見学できるらしい。
訪れたのは6月なので外から見るだけだった。

大きな地図で見る
賀名生の里歴史民俗資料館。
南朝関係の資料や地域の民俗資料が展示されている。
見学は後で行うことにし、先に進む。

大きな地図で見る
資料館裏の坂を上ったところで南側を望むように撮影。
左側に見える道は、ここに来た最大の目的に関係する。
南北朝時代に南朝方として戦い、討ち死にした郷土の忠臣を祀ったものとされる「二百十人塚」。
『神皇正統記』を著した北畠親房の墓。
なお、親房が『神皇正統記』を書き始めたところとされる小田城には2010年に訪れている

大きな地図で見る
北畠親房の墓の近くにあった五條高等学校賀名生分校趾。
2004年にここから南東の黒渕へ移転した。
←移転から4年が経ち、かつての校庭を雑草が覆い始めている。
分校創立50周年を記念したモニュメントもこの地に残されていた。→
丹生川に架かる橋(4枚目の画像に写っている橋)の上から賀名生皇居跡(堀家住宅)を撮影。
橋を渡って、画面右側に見える橋の先に延びる道との合流点へ向かう。
ここが合流点。
短い"橋"が架かっていて、立体交差になっている。

大きな地図で見る
第1屋那瀬凾渠(かんきょ)
どうやらこの部分は、正確には道の上に架けられた橋ではなくて、築堤の途中に(人や車が通れるように)造られた通路(つまり下の道ではなく上のほうの道が主体)らしい。
第1屋那瀬凾渠をくぐった先に階段とスロープがあった。
スロープを上る。
上った先には賀名生梅林の観光地図があった。
国道168号を挟んだ向かい側は梅林となっているが、訪れたのはシーズンがとっくに過ぎた6月。
そして、地図左下に記されている現在地は「国鉄バス」の賀名生停留所。
北側を見る。
橋の先にはトンネルが見える。
南側を見る。
左右に「賀名生」と記された停留所の標識が立っているが、会社名は「国鉄バス」ではなく「奈良交通」である。
待合所。
駅の「名所案内」のような「史跡観光案内」がついている。
停留所より少し南側に進んでみる。
こちらのトンネル、普通の道路にあるトンネルというよりは鉄道用のトンネルに見える
橋を渡って賀名生の里歴史民俗資料館に戻り、中を見学した後、国道168号を東→南へ進む。
しばらく歩いて丹生川に架かる橋を渡ると、先ほどの道との交差点は踏切のようになっていた

大きな地図で見る
傍らにはこのような警告看板が立っていた。
「路線バス専用道につき 一般車両の通行を禁止します。 西吉野村」
※西吉野村はこの時すでに五條市に吸収合併されている。
この道は路線バス専用道だが、この踏切のような交差点といい、賀名生停留所そばのトンネルといい、まるで鉄道のようだと思われるかもしれない。
実は、この道はもともと鉄道として建設された施設をバス専用道として転用したものである。
国鉄時代に五条と新宮を結ぶ「五新線(ごしんせん)」として計画され、橋やトンネルなどの施設は大塔町(おおとうちょう)阪本(さかもと)までできていたが、国鉄再建法により工事は中止された。
その後、霊安寺(りょうあんじ)から旧西吉野村役場(現:五條市役所西吉野支所)のある城戸(じょうど)までをバス専用道として国鉄バス→西日本JRバスを走らせていたが、JRバスは採算が取れないとして撤退、その後奈良交通が引き継いで1日数本運行されていた。
トンネルなどの施設が老朽化したことに伴い、平成26年9月30日をもって奈良交通による運行も終了し、バス専用道は廃止された。
"踏切"から五条駅方面を見る。
同じ場所から城戸方面を見る。
"踏切"から少し城戸方に進んだところに
向賀名生(むかいあのう)」停留所があった。

大きな地図で見る
さらに丹生川沿いを南へ進むと、西谷との合流点近くの大日川(おびがわ)に丹生神社があった。
大きな地図で見る
3たびバス専用道へ。
専用道大日川停留所から五条駅方面を見る。

大きな地図で見る
ほぼ同じ場所から城戸方面を見る。
2つ前の画像に写っていた橋の上から五条駅方面を撮影。
同じ場所から城戸方面を撮影。
手前側に専用道大日川停留所、奥には国道168号と丹生川を跨ぐ大日川橋梁が見える。
国道168号から大日川橋梁を撮影。
この後、大日川停留所(専用道ではなく国道168号にあるほう)から城戸行きの奈良交通バスに乗車。
終点の城戸停留所で下車し、少し五条駅方面に戻ったところから五新線の橋を撮影。
大きな地図で見る
橋のすぐそばにある「川合地蔵尊」。
近くにあった説明板によると、疫病除けと安産のご利益があるらしい。
専用道経由のバスはここから出入りする。
右側の警告標識の下にある店の宣伝看板に「JR西日本バス駅前・・・」の表記がある。
南都銀行城戸支店の真上に橋があり、その先にはトンネルがある。
上がどうなっているか、先ほどのアプローチ道を上がってみると・・・
こうなっていた。
橋の上は西吉野村役場(→五條市役所西吉野支所)職員専用の駐車場として使われている。
その奥にあるトンネルは金網で下のほうが塞がれている。
トンネルに近づいてみたいという思いがなかったと言えばうそになるが、「許可なく立ち入ったり、車の駐車等は一切ご遠慮下さい。」という看板があったので自重した。
一般道から専用道へのアプローチ道を上から見たところ。
「専用道城戸」停留所。
国鉄・JR時代は「城戸駅」という、いわゆる"バス駅"だった。
そのため、単なる待合所ではなくしっかりした"駅舎"が今でも残っている。

大きな地図で見る
五条駅方面を見る。
上の画像の、金網で幅員が狭まっているところから「専用道城戸」停留所"構内"を撮影。
最後に、停留所"構内"の駐車場にあった宿泊施設「にしよしの荘」の宣伝看板を。
「JR城戸駅」という表記がされている。
なお、「にしよしの荘」は2004年に閉鎖されている。
帰りの五条駅行きバスの発車時刻は16時29分。
まだ時間があったので、「にしよしの荘」のあたりまで歩いて往復してきた。
そして、帰りのバスは専用道経由。
窓から見えた景色は素晴らしいものだったが、ほとんどの区間で乗客は自分1人だった。
五条駅からは17時20分五条駅始発の和歌山行き普通列車に乗車。
和歌山駅に到着後、夕食をとって「ホテルグランヴィア和歌山」にチェックインした。

<旅の記録トップ 和歌山電鐵再訪>
<<円町駅別館トップ
円町駅別館 YenTown Station annex